藤本純輝（Atsuki Fujimoto）個展「高原に咲く」

高原に咲く

さわさわと風に揺れる木々や道端であたたかな陽光に包まれ咲いている花をモチーフに、草花の群生する情景が持つ気配や感触の追体験を描き起こす。
それぞれの景色が持つ感触や気配を描き出すため、モチーフの持つ固有の性質や情景と、絵肌の質感や素材感とを互いに補完しあえるようにその都度選択・手入れを重ねる。

絵の支持体には一般的なキャンバスではなく、手芸などで用いられるきめの細かいリネン生地を使用している。
支持体の布そのものに細やかな空気の通り道があり、画面の奥、左右への空間の広がりを作り出す。

本来、嘘の空間を作り出す絵画というものに対して、嘘のない、実際の空間に物体として存在しているものとして、物理的な前後、遠近を持った絵画空間を創出する。
やわらかでキメの細やかな布を重ねたり、剥き出すことで浮かび上がる花や空気の様相は、花や花をとりまく光・空気のたしかな気配を創出する。

本展では、広々とした高原の足元にぽつぽつと小さく咲く花々をモチーフに描いた作品と、花の中心部に焦点を当て描いた「蜜林」の作品を交え、高原のお花畑を展示空間に創出する。
自然豊かで清々しい空気の中に咲く、絵画の花々による花園をぜひお楽しみください。